マカオ返還25年:「一国二制度」新ステージと経済多角化の行方
マカオ特別行政区で返還25周年の記念行事と第6期政府の就任式が行われ、中国の習近平国家主席は、一国二制度の枠組みのもとでマカオが大きな成果を上げてきたと強調しました。マカオは今、経済多角化と国際ハブとしての役割拡大という新たなステージに入っています。
マカオ返還25周年を祝う式典と「一国二制度」の評価
記念式典では、習近平国家主席が演説し、マカオ返還以降の「一国二制度」の実践が、顕著な制度的優位性と旺盛な生命力を示してきたと述べました。また、この枠組みが体現する平和、包摂、開放、共有という価値は、中国と世界に共通するものであり、共に守るべきだと呼びかけました。
習主席は、1999年の返還以来、マカオが経験してきた「巨大な変化」に触れ、「マカオの特色を持つ一国二制度の実践は、非常に大きな成功を収めている」と評価しました。そのうえで、新たに発足した第6期政府に対し、経済の適度な多元化を進め、統治能力と行政効率を高め、より高いレベルの対外開放を実現するとともに、社会の調和と安定を守るよう求めました。
25年で何が変わったのか:数字で見るマカオ
マカオの変化は各種の統計に表れています。返還前後と比較すると、経済や社会指標は大きく伸びています。
- 域内総生産(GDP)は2023年に約3795億マカオ・パタカ(約474億ドル)と、1999年の約7倍に拡大
- 1人あたりGDPは約7万ドルと、返還当時から4倍以上に増加
- 平均寿命は1999年の77.9歳から2023年には83.1歳へ上昇し、世界的にも高い水準
- 2012年以降の失業率はおおむね2%未満で推移し、ほぼ完全雇用に近い状態
- 観光客数は1999年の約660万人から、2019年には3940万人へと急増
フォーブス誌の2024年版「世界の豊かな地域」ランキングでは、マカオはアジアで1位、世界では2位に位置づけられました。経済規模だけでなく、住民の平均的な豊かさも国際的に注目されています。
観光も拡大が続き、12月7日までに今年の訪問者数は3200万人を超え、年末には3300万人に達するとの見通しが示されています。
「一国二制度」新ステージで問われる課題
習主席は、一国二制度の実践が「新しい段階に入った」と指摘し、マカオが次の25年に向けて取り組むべき方向性を示しました。そのポイントは、経済構造の転換とガバナンスの質の向上です。
- カジノを中心とする単一産業構造からの「適度な経済多元化」の推進
- 行政効率の向上や政策実行力の強化を通じた統治能力の底上げ
- サービス、金融、文化交流などを軸にした、より高いレベルの対外開放のプラットフォームづくり
- 市民生活の安定と治安を含む社会の調和の維持
マカオは、自由貿易港であり、独立した関税地域としての地位、そしてシンプルかつ低水準の税制など、制度面での明確な強みを持ちます。世界貿易機関(WTO)は、マカオを世界で最も開放的な貿易・投資環境を持つ経済の一つとして評価しています。
国家戦略と結びつくマカオの役割
中国中央政府は、マカオの独自の位置づけを踏まえ、国家全体の発展戦略に積極的に組み込んでいます。マカオには、対外開放の「窓口」として機能しうる役割が期待されています。
とくに次のような協力枠組みやインフラが、マカオに新たな発展の余地とチャンスを提供しているとされています。
- 広東・香港・マカオ大湾区(グレーターベイエリア)構想
- 香港・珠海・マカオ大橋をはじめとする大規模インフラ
- 横琴における広東・マカオ深合区での協力プロジェクト
中央政府の支援のもとで、マカオは外国との間で約60の協定を締結し、120を超える国と地域と経済・貿易・文化のネットワークを築いてきました。マカオが参加する国際機関や組織は190以上に増え、147の国と地域へのビザ免除または到着ビザでの渡航が可能とされています。姉妹都市も13に達しています。
一帯一路とビジネス拠点としてのマカオ
マカオは、一帯一路構想の中で、新たな活力を世界経済にもたらす拠点の一つと位置づけられています。2023年には、一帯一路パートナー国への貨物輸出額が7億7000万マカオ・パタカとなり、前年から47.8%増加しました。パートナー国からの輸入額も309億2000万マカオ・パタカで、前年比18.0%の増加となりました。
また、マカオと横琴は合同代表団を組み、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ポルトガル、スペインなどで投資誘致活動を展開しました。現地では約350件のビジネスマッチングが行われ、合計17件の協力協定が締結されています。
日本の読者にとっての意味
返還から四半世紀が経った今、マカオは観光都市から「多機能ハブ都市」へと舵を切ろうとしています。その姿は、日本の読者にとってもいくつかの示唆を投げかけます。
- アジア有数の高所得地域としての市場ポテンシャルと、消費・サービス分野でのビジネスチャンス
- ポルトガル語圏とアジアをつなぐ結節点としての役割を活かした国際展開の可能性
- 大湾区や一帯一路を通じて広がる広域経済圏との連結点としての位置づけ
習主席は、一国二制度を「全面的かつ正確に、揺るぎなく実行」し続けるならば、マカオは新たな発展の地平を切り開き、今後も「新たな栄光」を生み出せるとの自信を示しました。
マカオの25年は、一つの都市が制度の枠組みを活かしながら、どのように国際化と地域社会の安定を両立させようとしているのかを示すケーススタディでもあります。アジアの国際ニュースとして、その行方を追うことは、日本で暮らす私たちが自分たちの都市や働き方、旅行や投資の選択を考えるうえでも、静かなヒントを与えてくれそうです。
Reference(s):
Macao SAR embarks on new chapter of 'One Country, Two Systems'
cgtn.com








