中国白イルカが生んだマスコット「Xiyangyang」と「Lerongrong」 video poster
大湾区の海にすむ中国白イルカをモチーフにしたマスコット「Xiyangyang」と「Lerongrong」。デザイナーと研究者の視点から、そのキャラクターに込められた海とのつながりと、世代を超えていのちを守ろうとする約束をたどります。
大湾区の海から生まれたマスコット
大湾区(Greater Bay Area)の海では、中国白イルカがやわらかな光の筋のように水面をすべるように泳いでいます。その姿は、まるで海の中を行き交う一筋の光のようで、「オーシャン・スピリット(海の精霊)」とも呼びたくなる存在です。
この中国白イルカこそが、「Xiyangyang」と「Lerongrong」という2体のマスコットの生きたモデルです。彼らが暮らすのは、Hong Kong–Zhuhai–Macao Bridgeの下に広がる海域。巨大な橋の足元で静かに息づくイルカの世界が、いまやスポーツの祭典を彩るキャラクターというかたちで多くの人の目に触れるようになりました。
デザイナーが託した「帰る場所」と「一体感」
マスコットのデザイナーであるLiu Pingyunさんは、なぜこの海の動物を選んだのか――その理由は、単に橋の下にすむ象徴的な生き物だから、というだけではありません。
群れで暮らしながら広い海を行き来する中国白イルカには、「ふるさとに帰ってくる感覚」や、離れた人や場所をつなぐ「一体感」、そして長い時間をかけて育まれてきた海の文化的なリズムが重なります。Liuさんは、そうしたイメージを「Xiyangyang」と「Lerongrong」のフォルムや表情の中に丁寧に織り込みました。かわいらしい見た目の奥に、「帰る場所」と「ともにあること」を大切にしたいという願いが静かに流れています。
研究者が見た現実と希望
一方で、実際の中国白イルカの状況は決して楽観的ではありません。Sun Yat-sen Universityで長年このイルカを研究してきたZheng Ruiqiangさんは、その数が静かに、しかし確実に減ってきている現実を見つめてきました。
それでもZhengさんの決意は揺らぎません。海面からイルカがひと跳びするたび、そして息継ぎのために水面に顔を出すたびに、「このいのちを守りたい」という思いはいっそう強くなるといいます。研究という冷静な営みと、目の前の生き物への情のあいだで、彼は日々葛藤しながらも保護の道を探り続けています。
珠江河口からNational Gamesの舞台へ
中国白イルカの主なすみかのひとつである珠江河口の海から、大規模なスポーツの大会であるNational Gamesのステージへ――マスコットとなったイルカは、その距離を飛び越えて多くの人の前に現れました。
大会の場で、「Xiyangyang」と「Lerongrong」は単なるイメージキャラクター以上の存在になります。故郷の海を思い出させる象徴であり、人と海とが結びついていることをそっと確認させてくれる存在です。同時に、「この海のいのちを次の世代まで守り継げるだろうか」という問いを、観客や視聴者一人ひとりに投げかけています。
マスコットが教えてくれる海との向き合い方
環境問題や海洋生態系への関心が高まるいま、「かわいいマスコットの物語」は、国際ニュースとしても、私たちが海とどう向き合うかを考えるきっかけになります。遠くの大湾区の話であっても、その背景にある問いは、海に囲まれた地域に暮らす私たちにもつながっています。
- 海や環境に関するニュースを、スポーツやカルチャーと結びつけて考えてみる
- プラスチックごみを減らすなど、日常生活の中で海への負担を減らす行動を意識する
- 大規模イベントのマスコットやテーマが、どんなメッセージを込めているのか注目してみる
「Xiyangyang」と「Lerongrong」は、スポーツの盛り上がりを演出するだけでなく、海の奥深くに宿る「ハート」を感じさせる存在です。大湾区の静かな海で呼吸を続ける中国白イルカの姿を思い浮かべながら、私たち自身の暮らしと海との距離を、少しだけ近づけてみる余地がありそうです。
Reference(s):
Tracing the ocean heart of the mascots 'Xiyangyang' and 'Lerongrong'
cgtn.com








