中国、対イラン攻撃に反対し中東停戦訴え AI軍事利用にも警鐘
2026年3月11日(水)、中国国防部の報道官は、中東情勢をめぐり「直ちに敵対行為を停止し、対話と交渉に戻るべきだ」と述べました。同時に、軍事領域での人工知能(AI)の“無制限利用”がもたらす倫理面のリスクにも懸念を示しており、戦闘とテクノロジーの両面で緊張が高まる局面を映しています。
中国国防部が表明した「停戦と対話」
国防部報道官の蒋斌(Jiang Bin)氏は、定例記者会見で、国連安全保障理事会の承認なしに行われたとされる米国とイスラエルによる対イラン軍事攻撃について、国際法および国際関係の基本規範に深刻に反すると述べ、中国はこれに断固反対すると説明しました。
蒋氏はまた、他国の主権と安全を侵害する行為、武力の乱用、いわゆる「弱肉強食」の論理に反対する立場を強調。紛争が長期化し周辺国へ波及することへの強い懸念を示し、敵対行為の継続や激化は地域全体を「危険な深淵」へ押しやり、人々の苦しみを増幅させると警告しました。
会見で示された要点(整理)
- 優先事項は「軍事行動の即時停止」と「対話・交渉への復帰」
- 紛争の長期化・拡大は、周辺国への波及と人道的負担を強める
- 国際紛争の解決手段として武力に頼ることへ否定的な立場
もう一つの焦点:「AIの軍事利用はどこまで許されるのか」
同会見では別の質問として、米軍が米国のテクノロジー企業が開発したAI技術への制約のないアクセスを求めていること、またAIツールがベネズエラやイランに対する軍事作戦で広く使われているとする報道にも言及がありました。蒋氏は、こうした動きが持つ倫理的含意に懸念を表明しています。
蒋氏は、AIの無制限な軍事利用が、他国の主権を侵害する目的で使われたり、アルゴリズムが戦時の意思決定に過度に影響したりすれば、戦争における倫理的制約や説明責任が損なわれかねないと指摘。さらに「生死をアルゴリズムが左右する」ことは技術の暴走リスクを高め、映画『ターミネーター』のようなディストピアが現実になり得る、という趣旨の警鐘も鳴らしました。
中国側が示した原則:「人間が主、AIは従」
蒋氏は、中国が「人間中心」および「AI for good(公益のためのAI)」を唱えていると述べ、軍事分野でAIを用いる場合も人間の優先性を維持し、関係する兵器システムは人間の管理下に置かれるべきだと主張しました。また、AIなど新興技術の優位を利用して「絶対的な軍事的優勢」を追求したり、他国の主権や領土保全を損なったりする試みに反対するとしています。
国連を軸にしたAIガバナンスへ——「ルールづくり」の綱引き
蒋氏は、中国が国連を中核とするAIの多国間ガバナンス(国際的な運用ルールづくり)を他国と共に進める用意があると述べました。リスクの予防・管理を強化し、AIの発展が人類文明の進歩に資するようにする、という方向性を示しています。
中東の停戦呼びかけと、AIの軍事利用への警鐘。分野は違って見えても、どちらも「エスカレーションを止める仕組み」をめぐるテーマです。外交の現場では停戦と交渉の糸口が探られ、テクノロジーの現場では“人が責任を負える範囲”をどこまで担保できるかが問われています。
今後の注目点
- 戦闘停止に向けた外交の動き:当事者や関係国が対話の枠組みに戻れるか
- 紛争の波及リスク:周辺国への影響や地域の不安定化が抑えられるか
- AIの軍事利用の歯止め:人間の関与・説明責任・統制の国際基準がどう整備されるか
軍事衝突の行方と、AIが戦争の意思決定に入り込む速度。2026年の国際ニュースとして、両方を同時に追う必要性が高まっています。
Reference(s):
China urges Mideast ceasefire, warns of unchecked AI militarization
cgtn.com



