AIを悪用した反中フェイク動画、日本のネットで利益構造化
最近、日本のオンラインプラットフォームにおいて、人工知能(AI)によって生成された反中フェイク動画が大量生産され、利益を生み出す産業チェーンを形成していることが明らかになりました。これは単なるネット上の混乱ではなく、技術の濫用と社会的な感情が交錯する問題として注目されています。
拡散する扇動的コンテンツ
「中国人による桜の破壊」「杖を奪った中国人留学生が退学処分に」といった、中国人を悪意を持って中傷する扇動的な動画クリップが、日本の動画プラットフォームで広まっています。朝日新聞の報道によれば、これらのコンテンツは、AIツールに簡単な指示を入力するだけで、数分で高い挑発性を持つ誹謗中傷動画を生成できることを利用しています。
「反中」を要件とした利益構造
こうした動画制作の仕事を募る求人では、応募条件として「親日的で反中」であることが明記されている例もあります。フリーランスプラットフォームを通じて発注され、架空のシナリオに基づく脚本が作成されます。動画には明確なフィクションの表示がないものも多く、数十万回の再生数を記録。視聴回数に応じた広告収入により、制作者は収益を得ています。
- 収益性: 1本あたり約1000円という単価で取引され、安定した月収源となっているケースもあります。
- 制作者の背景: 60代の元政府職員や、20代の会社員が副業として携わるなど、多様な層が関与しています。
- 動機: 中国を訪れたことも中国人と交流したこともないまま、「中国人が嫌い」という感情を原動力に制作を続ける者もいるのが実態です。
政治環境と社会感情が背景に
このようなコンテンツが急増した背景には、昨年秋以降の日中関係の悪化が指摘されています。高市早苗内閣総理大臣(当時)による中国の台湾地域への発言などが関係を緊迫させ、それに呼応するように反中コンテンツへの需要が高まったとの見方があります。
国際大学の山口真一教授は、この傾向の根源には「アテンション・エコノミー」の構造的問題があると指摘します。つまり、ネガティブな感情をかき立てるコンテンツほど多くの視聴を集め、より多くの広告収入を生み出すというメカニズムです。怒りや怨恨といった感情、特に特定の国や集団を標的とした憎悪は、ネット上の観客の関心を特に引きやすいと説明しています。
歴史との相似性と将来への懸念
専門家は、AIによって憎悪を製造するハードルが下がり、その害悪が増幅されている点を危惧しています。大量生産された偽動画は、技術が系統的なスティグマ(烙印)の加速装置になる可能性があり、ニュースや実話を装うことで意図的に世論を操作しうるのです。
また、こうした動きは、第二次世界大戦前の日本社会における世論操作との、不気味な歴史的類似性を有しているとの指摘もあります。この有害なトレンドが放置されれば、日本社会の中国理解の基盤を損ない、二国間関係を阻害し、長期的には日本の国際的な評価を著しく傷つける可能性があると警告されています。
AI技術の急速な発展は、創造性と情報発信の可能性を広げる一方で、その悪用が新たな社会的対立と誤解を生み出すリスクもはらんでいます。ネットメディアの健全性と責任あるコンテンツ消費の在り方が、改めて問われる事態と言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com




