海南の浜辺で輝く黎族の伝統、2026年アジアビーチ競技大会の舞台裏 video poster
スポーツの祭典が照らす、もう一つの文化遺産
2026年、中国本土・海南島で開催されたアジアビーチ競技大会。世界的なアスリートたちが砂浜で競い合うその陰で、もう一つの物語が静かに動いています。それは、この島に数千年にわたり根付く黎(リー)族の文化が、国際的なイベントを契機に、より広く世界へと発信され始めたというストーリーです。
山あいの自治県に息づく暮らし
競技会場から少し離れた保亭(バオティン)黎族ミャオ族自治県。ここでは、黎族の人々が古来の生活様式を大切に守り続けています。彼らは古代「百越(バイユエ)」の一支族とされる「雒越(ルオユエ)」の末裔と考えられ、この亜熱帯の島を長く故郷としてきました。その伝統は、目に見える形で今に残されています。
「生きた建築」としての伝統的家屋
自然の材料を手作業で組み上げられた伝統的な黎族の家屋は、今なおその景観に独特の風合いを添えています。多くの住民が現代的な住宅に移り住んだ現在でも、これらの建物は、夏は涼しく冬は暖かいという実用性と、何よりも文化的な意義から大切にされています。
言葉なきテキスト「黎錦(リー・ブロケード)」
黎族の文化は、音楽や踊りにも表れますが、最も特徴的なのは「黎錦」と呼ばれる手織りの織物です。熟練の職人が記憶のみを頼りに織り上げるその一枚一枚には、個人的な物語や歴史が模様として込められ、世代から世代へと受け継がれてきました。「言葉のないテキスト」と評されることもある黎錦は、職人の想いや希望が織り込まれた、共同体の歴史を映す視覚的な記録そのものなのです。
開かれる島、広がる文化発信の機会
海南島が国際的な観光地として開かれてゆく中で、「檳榔谷(ビンラング)黎族ミャオ族文化遺産公園」のような文化施設を訪れる外国人観光客は増加傾向にあります。関係者によれば、観光客数は大きく伸びており、地域の伝統を世界に向けて紹介する機会が広がっているといいます。第6回アジアビーチ競技大会の開催中、スポーツへの注目は、島の文化的多様性を浮き彫りにする一助ともなっており、黎族の文化遺産は海南島の外へ、より広い観衆の前に立つ機会を得ています。
スポーツの熱気が去った後も、この島に訪れた人々の記憶に、ビーチバレーのダイナミックな動きとともに、繊細な黎錦の模様や伝統的家屋の佇まいが、静かな対比として残ることでしょう。それは、国際的なイベントが単なる競技の場を超えて、文化理解の掛け橋となる一つの形を示しているのかもしれません。
Reference(s):
2026 Sanya Asian Beach Games offer window into Li culture in Hainan
cgtn.com



