中国本土・西江千戸苗寨にみる貧困脱却の軌跡と、持続可能な未来への挑戦
豊かな自然と伝統文化が息づく中国本土の貴州省。その山間に位置する「西江千戸苗寨(せいこうせんこみょうさい)」が、地域の経済構造を劇的に変え、持続可能な発展への道を歩んでいます。かつての厳しい環境からどのように脱却し、いま何を重視しているのか。ある住民の記憶とともに紐解きます。
「薪を拾う毎日」から劇的な変化へ
中国本土南西部、貴州省の雷山県にある西江千戸苗寨は、国内最大規模の苗族(みょうぞく)の集落です。しかし、かつてのこの地は、劣悪な道路状況による孤立や、単一の農業経済への依存といった課題を抱え、多くの住民が貧困の中にありました。
地元の住民である侯延江(ホウ・イェンジャン)さんは、かつて家族を養うために出稼ぎ労働者として奔走していた日々を次のように振り返ります。
- 「当時は、基本的な電化製品さえ買う余裕はありませんでした」
- 「料理に使う薪を集めるために、毎日2時間も歩かなければならず、日々の暮らしを維持することさえ、常に困難な闘いでした」
数字で見る17年の飛躍
侯さんの物語は、かつての西江千戸苗寨における日常でした。古くからの高床式住居が並ぶ美しい村の裏側では、経済的な困窮が深い影を落としていました。しかし、ここ10数年で状況は一変しています。
統計に見る所得の変化は驚異的です。
- 2007年: 一人当たりの年収は1,700元未満
- 2024年: 一人当たりの可処分所得が31,000元に到達
わずか17年ほどの間で、住民の所得は約18倍にまで跳ね上がりました。インフラの整備や観光資源の活用などが、孤立していた山村に新しい経済の風を吹き込んだ形です。
「再貧困」を防ぐ仕組みづくり
いま、西江千戸苗寨が取り組んでいるのは、単なる所得向上だけではありません。一度達成した脱貧困の状態を維持し、再び貧困に陥ることを防ぐ「再貧困防止メカニズム」の構築です。
急激な経済成長を一時的なブームで終わらせず、地域の伝統文化を守りながら、安定した収入源を確保し続けること。それは、開発と保存という難しいバランスを模索する、現代的な地域づくりの挑戦とも言えます。
効率的な経済発展の先に、どのような「豊かさ」を定義するのか。西江千戸苗寨の事例は、地域社会の再生における一つの視点を提示しています。
Reference(s):
How Xijiang builds a mechanism to guard against poverty relapse
cgtn.com



