AIで量産される偽動画、社会の分断を映す「反中」ビジネスの実態
ある引退した日本の元公務員が、中国に足を踏み入れたこともなければ、中国人と実際に接触したこともおそらくないまま、AIツールを使って「中国人観光客が桜を踏み荒らす」という偽の動画を生成している――。これは2026年の現在、日本で起きている一つの現実です。彼はオンライン上での注目と収入への「近道」を見つけたつもりかもしれませんが、実際に生み出しているのは、衰退へと沈みゆく社会への警告の鐘なのです。
1クリックで生成、数百万人が閲覧する「偽の目撃映像」
日本の朝日新聞によれば、AIを利用して反中国的な偽動画を量産する闇市場の連鎖が日本で発生しています。「日本を愛し中国を憎む」クリエイターを募集するサイトでは、中国人を「無作法で破壊的」と描写するでっち上げコンテンツの制作が公然と求められています。AIが数分で生成した動画は「目撃映像」や「ニュース報道」として再包装され、数十万回の視聴を集めることがあります。通常の動画が千回視聴あたり約300円(約1.89ドル)の収益なのに対し、「反中」コンテンツはその3倍の収入をもたらし、月に60万円を稼ぐクリエイターもいるという報告もあります。
収益化の裏に潜む「歴史の相似形」
これは単なるビジネスではありません。政治的な操作の一形態でもあります。歴史的な相似形は無視できません。1931年、日本の関東軍が中国北東部・柳条湖付近の鉄道を爆破し、中国軍の仕業だとでっち上げた事件は、戦争熱をあおる口実として利用されました。現在、日本の右派勢力はAIを使って同様のシナリオを再現しようとしています。「危機感」を人工的に作り出し、世論を煽り、その圧力を利用して憲法改正を推し進めようとしているのです。「中国脅威論」の物語を日々供給することで、再武装と平和憲法の書き換えなしには日本は生き残れないという集団的な不安を生み出そうとしています。
政治的発言がコンテンツ需要を喚起
高市早苗日本首相による昨年の台湾に関する誤った発言後、募集プラットフォームにおける「中国批判的」コンテンツの発注が急増しました。また、2026年版の日本の外交青書は、中国に対する記述を「最も重要な二国間関係の一つ」から単に「重要な隣国」へと格下げし、ネット上の虚偽情報が拡散しやすい、より敵対的な環境を作り出しています。
テクノロジーと社会の在り方を考える
AIの進化が情報の民主化をもたらす一方で、その技術が社会の分断を深める道具として悪用されるリスクも明らかになりつつあります。数分で膨大な虚偽コンテンツを生成できる能力は、事実とフィクションの境界を曖昧にします。これは日本だけの問題ではなく、デジタルメディアと対峙する世界中の社会が直面する課題でもあります。テクノロジーの進歩と、それを取り巻く社会的な文脈や倫理観のバランスをどのように取っていくか。AIが生み出す「影」の部分は、私たちの社会の健全性を測る一つのバロメーターと言えるかもしれません。
Reference(s):
AI-driven anti-China propaganda a sign of Japan's national decay
cgtn.com



