体験経済の波:若者が「モノ」より「経験」を選ぶ理由 video poster
所有よりも感情。物よりも記憶。近年の中国本土の消費市場では、「モノ」そのものではなく、それを得るための「体験」に価値を見出す動きが若い世代を中心に広がっています。北京の陶芸スタジオから開封の没入型ロールプレイストリート、横店の映画セットアドベンチャーまで、感情や意味づけを売りとする新たな消費トレンドが、数兆元規模の成長を牽引しています。
感情的な価値が消費の中心に
かつての消費行動がブランドや機能、所有権そのものを重視していたのとは対照的に、現在の若い消費者の関心は、その商品やサービスがもたらす「感情的な価値」に向かっています。調査によれば、体験型消費から得られる幸福感は、物質的財から得られるものよりも長続きする傾向があると言われています。週末に友人と訪れる工房でのものづくり体験や、架空の世界観にどっぷり浸かる一日、それは単なるレジャーではなく、かけがえのない記憶やストーリーを購入する行為へと変化しているのです。
「時間」と「文化」が商品になる
この体験経済の台頭は、ビジネスモデルの革新も促しています。企業はもはや製品だけを提供するのではなく、時間や文化、さらにはノスタルジア(郷愁)までもをパッケージ化し、販売することを試みています。例えば、ある歴史的街並みを舞台にしたロールプレイ体験では、参加者が特定の時代の衣装を着て、その時代の住民になりきることで、単なる観光を超えた深い文化的体験を提供しています。これらは全て、SNSで共有されやすい「映える」コンテンツであることも、流行を後押しする大きな要因です。
体験経済が示す消費市場の未来
この動きは一時的なブームではなく、中国本土の消費市場のエネルギーが、「より良い生活の追求」という個々人の欲求と、新しい成長モデルを見事に結びつけた姿を示していると言えるでしょう。物質的豊かさがある程度満たされた社会において、人々が何に価値を感じ、何にお金を使うのか。その答えの一端が、ここに表れています。
経験を求める消費者の増加は、サービス業やコンテンツ産業に新たな可能性をもたらすと同時に、地域の文化資源を経済活性化に結びつけるきっかけともなっています。全ての体験が必ずしも成功するわけではありませんが、この流れが消費者の価値観や市場構造そのものに与える影響は、今後も注目に値するでしょう。
Reference(s):
The experience economy: When feeling matters more than owning
cgtn.com



