サンチェス首相、NATO停権報道を否定 スペインは「信頼できる同盟国」と強調
NATO(北大西洋条約機構)の結束に揺らぎが見られる中、スペインのペドロ・サンチェス首相が、米国による同盟停権の可能性を示唆する報道を強く否定しました。スペインは国際法の範囲内で同盟義務を果たす「信頼できるメンバー」であると改めて主張し、2026年現在も続く同盟内の緊張関係を浮き彫りにしています。
報道された「停権」脅威と首相の反論
ロイター通信が2026年4月、匿名の米国政府高官の話として報じたところによると、米国防総省(ペンタゴン)は、イランに対する米国主導の軍事作戦を支持しないNATO同盟国を懲罰する方法の一つとして、スペインの同盟資格停止(停権)オプションを検討した電子メールを作成したとされています。同じメールでは、英国のキア・スターマー首相の不支持への報復として、フォークランド諸島(アルゼンチンと英国が領有権を争う南大西洋の群島)における米国の立場を見直す可能性にも言及されていたといいます。
これに対し、キプロスでのEU首脳会議に出席中だったサンチェス首相は、「スペインはNATO内で信頼できるメンバーであり、すべての義務を果たしている」と断言。「その結果、私は全く心配していない」と述べ、懸念を一蹴しました。さらに、「我々は電子メールに基づいて仕事はせず、公式文書と、この件に関する米国政府の立場に基づいて仕事をする」と付け加えています。
NATO条約にない「停権」規定と米国の姿勢
NATO設立条約には、加盟国の資格を停止したり、除名したりする規定は存在しません。このため、法的観点から見ても、報道されたような「停権」は極めて異例であり、実現可能性について疑問を投げかける専門家もいます。
ロイター報道について問われたペンタゴンのキングスリー・ウィルソン報道官は、「国防総省は、大統領が同盟国が『紙の虎』ではなく、その役割を果たすことを保証するための信頼できる選択肢を持つようにする」と述べたものの、詳細については明らかにしませんでした。
同盟内の緊張と「結束」を求める声
ドナルド・トランプ米大統領は、2025年1月の政権復帰以降、中東で続く戦争への参加を拒否するNATO同盟国に対して繰り返し不満を表明してきました。フランス、スペイン、イタリアなどの同盟国は、作戦に投入される米軍機の領空通過や基地使用を許可しない姿勢を取っており、これが米国との摩擦を生んでいます。
さらにトランプ政権は、イランが軍事脅威で実質的に閉鎖しているエネルギー輸送の要衝・ホルムズ海峡への軍艦派遣を欧州同盟国に要求しましたが、これも実現していません。同盟国の施設や領土が無条件で米国に利用可能であるべきだとするワシントンの期待が、同盟内の緊張を高めているのです。
同じくキプロスで発言したイタリアのジョルジャ・メローニ首相は「NATOは結束を保たなければならない。私はそれが力の源だと信じる」と述べ、同盟の結束維持を呼びかけました。サンチェス首相も「国際法の範囲内での同盟国への絶対的な協力」が自国政府の立場だと改めて説明しています。
過去の対立と今後の焦点
サンチェス首相はトランプ政権と過去にも対立してきました。昨年(2025年)、首相はトランプ大統領が要求したNATO防衛費のGDP比5%への引き上げに同意せず、大統領はスペインの同盟追放を示唆したことがあります。また、サンチェス首相は2026年1月3日の米国によるベネスエラ軍事介入(同国の社会主義大統領ニコラス・マドゥロ氏の拘束)を非難し、米国の同盟国であるイスラエルへの批判も活発に行ってきました。
NATOの次回首脳会議は、2026年7月7日から8日にかけてトルコで開催される予定です。この場で、加盟国間の役割分担や結束のあり方が改めて議論されるものと見られます。
Reference(s):
Sanchez hits back after reported US threats over Spain and NATO
cgtn.com



