漢代漆器に描かれた「食卓の守り神」、ヤマネコのモチーフが語る古代の暮らし
馬王堆漢墓から出土した漆器に、無数のヤマネコが描かれているのをご存じでしょうか。2000年以上前の食器に、なぜこれほど多くの猫の姿が残されたのでしょう。この発見は、古代中国の人々の日常生活と信仰を静かに映し出す、貴重な窓となっています。
馬王堆遺跡が明かす、鮮やかな漆器の世界
湖南省長沙市にある馬王堆漢墓は、1970年代の発掘以来、膨大な数の貴重な副葬品で知られています。中でも特に注目されるのが、保存状態の良い色彩豊かな漆器です。近年(2026年現在)、これらの漆器に施された細かな文様の研究が進み、そこに描かれた動物モチーフの意味が改めて注目されています。
百体を超えるヤマネコたちの「仕事」
食器や酒器など様々な漆器の表面には、100体以上ものヤマネコ(ベンガルヤマネコ)が描かれています。その姿は多様で、餌鉢の上に佇むもの、獲物を狙って身を潜めるもの、尾を力強く巻き上げるものなど、生き生きとした表現が特徴です。当時、人々は床に座って食事をしていましたから、食器に描かれたヤマネコは、文字通り「食卓の上」にいる存在として描かれたのです。
ネズミ捕りから「守護者」へ
漢代において、ヤマネコは穀物倉庫や家屋をネズミから守る実用的な動物として重宝されていました。時が経つにつれ、その役割は「食物を守る」という実利を超え、縁起の良い守護神としてのイメージへと昇華していきました。漆器にその姿を描き込むことは、食卓に加護と幸運をもたらすための、ささやかながらも確かな願いの表明だったと考えられます。
古代の造形が現代に投げかけるもの
単なる装飾を超えて、生活の実感と祈りが込められたこのヤマネコモチーフ。現代の私たちがペットとして猫を愛でる気持ちとはまた少し違う、共存と実益に根差した古代の人々と動物の関係性を感じさせます。何気ない日用品の文様一つから、遠い時代の価値観や暮らしぶりが浮かび上がってくるのは、歴史の面白さと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com



