米最高裁がジオフェンス令状の合憲性審理、デジタル時代のプライバシー境界線は
スマートフォンの位置情報を大量に収集し、容疑者を特定する「ジオフェンス令状」。この最新の捜査手法が、憲法が保障するプライバシーの権利と衝突するかどうか、アメリカ合衆国最高裁判所の判断が注目されています。
銀行強盗を「スマホの位置」が暴いた
事件はバージニア州リッチモンド郊外で起きました。Okello Chatrie容疑者は銀行から19万5千ドルを奪って逃走しましたが、警察は彼を特定するため、強盗現場周辺に「仮想的な柵」を設け、その範囲内にいた携帯電話の位置履歴を収集する「ジオフェンス令状」をGoogleに発行。Chatrie容疑者のスマートフォンが犯罪時刻に現場周辺にあった数少ない端末の一つであったことから、逮捕に至りました。
「場所」から「人」を逆探知する捜査手法
ジオフェンス令状は、従来の捜査手順を逆転させます。通常、警察はまず容疑者を特定し、その家や電話を捜索する令状を取得します。しかし、この手法では、容疑者はおらず、犯罪が起きた「場所」だけが手がかり。警察はその地域にいた人々のデータを逆探知して、潜在的な容疑者を絞り込むのです。
犯罪解決の切り札か、無実の人々への「漁業的捜査」か
検察側は、監視カメラが顔やナンバープレートを捉えられなかった事件や未解決事件の解決に、この令状が大きく貢献していると評価します。一方、市民的自由を重視する団体や法律専門家は、たまたま犯罪現場近くにいただけで多くの無実の人々の私的記録が捜索対象となる「漁業的捜査」に他ならないと批判。最高裁がこの手法を容認すれば、同種の「逆方向捜査」がさらに広がる可能性があると警告しています。
2021年国会議事堂襲撃事件でも使用
この技術は、2021年1月6日に起きた連邦議会議事堂襲撃事件において、当時のトランプ大統領の支持者を特定するためにも活用されました。また、民主党・共和党本部前でパイプ爆弾が仕掛けられた事件や、カリフォルニア州、ジョージア州、ノースカロライナ州など複数の州で起きた殺人事件の容疑者特定にも役立ったと警察は説明しています。
1791年の権利章典をデジタル時代にどう適用するか
今回の裁判の核心は、1791年に批准された合衆国憲法修正第4条(不合理な捜索・押収の禁止)を、建国の父たちが想像もできなかった現代テクノロジーにどう適用するかという難題です。最高裁判所は、デジタル監視技術の進歩と個人のプライバシー保護の狭間で、歴史的な判断を下すことになります。その判決は、捜査手法のみならず、私たちの日常生活に溶け込んだデジタル機器と権力との関係を再定義するかもしれません。
Reference(s):
US Supreme Court hears privacy case after thief's phone gave him away
cgtn.com



