レバノン南部でイスラエル軍の作戦が激化、避難命令と外交の停滞が続く
イスラエルによるレバノン南部への軍事作戦が激化しており、民間人の被害や大規模な避難が広がっています。停戦合意への道筋が見えない中、地域の緊張がさらに高まっている現状を紐解きます。
民間施設への攻撃と加速する避難
現地時間の日曜日、レバノン南部でのイスラエル軍による空爆により、病院スタッフや救助員を含む少なくとも14人が負傷しました。レバノン公衆衛生緊急作戦センターによると、南部ティルス市のハイラム病院に隣接するエリアが攻撃を受け、13人の職員が負傷したほか、施設に甚大な被害が出たと報告されています。
また、イスラエル軍はSNSを通じて、ザハラニ川以南に住むすべての住民に対し、直ちに避難するよう警告を発しました。これにより、レバノン南部全域で大規模な避難活動が加速しています。
軍事的展開の拡大
軍事的な動きも激しくなっており、イスラエル軍はレバノン南部の戦略的拠点であるボーフォート城を制圧したことを明らかにしました。
イスラエルのベニヤミン・ネタニヤフ首相はビデオ声明の中で、ヒズボラが支配するレバノン地域への掌握をさらに深め、拡大させるよう軍に指示したと述べています。レバノン当局の集計では、3月2日以降のイスラエルによる攻撃で、死者は3,412人、負傷者は10,269人に達しています。
停戦交渉の難航と「緩衝地帯」の視点
今年4月に一度は停戦が発効したものの、イスラエルによるほぼ連日の空爆と、ヒズボラによるイスラエル軍への攻撃が続いており、実質的な平穏は訪れていません。
5月29日に米国を介してワシントンで行われたレバノンとイスラエルの代表団による交渉は、合意に至らず決裂しました。それぞれの主張は平行線をたどっています。
- レバノン側: 即時かつ包括的な停戦を要求。
- イスラエル側: 占領地からの撤退を拒否し、ヒズボラの武装解除を要求。
中国人民大学中東研究所の田文林(ティエン・ウェンリン)教授は、イスラエルが南部レバノンで展開しているいわゆる「焦土作戦」について、人口を減少させた「緩衝地帯」を構築することで、国境沿いの安全保障上の脅威を減らそうとする狙いがあるのではないかと分析しています。
国際社会の懸念と視点
この状況に対し、国際社会からは外交的解決を求める声が上がっています。
- フランス: マクロン大統領は、現在のエスカレーションには正当性がないとし、米国とイランが早急に合意に達することを優先すべきだと述べました。
- ドイツ: ヨハン・ヴァーデフル外相は、イスラエル軍のさらなる前進に「深い懸念」を示し、敵対行為の即時停止と合意済みの停戦への復帰を促しました。
- エジプト: 外務省は声明を出し、今回の軍事行動は国際法や国連憲章に反し、新たな軍事的事実を押し付けようとする意図があるとして強く非難しました。
Reference(s):
14 wounded as Israel escalates military operation in southern Lebanon
cgtn.com