揺れるイスラエル政治:早期選挙へ前進、ネタニヤフ首相は再選を目指す
イスラエルの政治状況が新たな局面を迎えました。現地時間6月2日、イスラエル議会(クネセト)は議会を解散し、早期選挙を実施するための法案の第1読会を可決しました。政権基盤の不安定化が進むなか、長期政権を維持してきたネタニヤフ首相が再び権力の座を狙うことになります。
早期選挙に向けた議会の動き
今回の採決では、全120議席のうち106人がこの法案を支持しました。法案はネタニヤフ首相率いる連立与党によって提出されたもので、可決にはあと2回の読会を経て法律となる必要があります。
法案が成立した場合、選挙は以下の日程で実施される見込みです。
- 想定される選挙期間: 9月8日から10月20日の間
- 本来の任期満了日: 10月27日
与党側のオフィール・カッツ氏は、4年間の任期を全うしたことはイスラエル政治において「例外的な成果」であると述べ、多くの法案や予算を通過させた実績を強調しています。
連立政権内部の亀裂とプレッシャー
今回の早期選挙への動きの背景には、ネタニヤフ首相を取り巻く厳しい政治状況があります。特に、連立を組む超正統派政党からの不満が高まっていることが要因の一つと見られています。
超正統派政党は、宗教学校(イェシバ)で学ぶ若者に対する兵役免除の恒久的な法制化という、ネタニヤフ首相の約束が果たされていないと主張しています。右派中心の連立政権内部で足並みの乱れが目立っており、政権運営は極めて困難な状況にあります。
「政治の不死鳥」ネタニヤフ首相の現状
76歳のネタニヤフ首相は、1996年に初めて首相に就任して以来、通算18年以上政権を担ってきたイスラエル史上最長の首相です。その政治手腕から「政治の不死鳥」とも称されますが、現在はいくつもの困難に直面しています。
- 司法リスク: 長年にわたる汚職裁判が続いています。
- 安全保障への責任: 2023年10月7日のハマスによる大規模攻撃を許した安全保障上の失敗について、多くの国民から責任を問われています。
- 健康問題: 最近、前立腺がんの手術を受けたことを公表しました。
混迷する今後の展望
世論調査では、ネタニヤフ氏率いるリクード党が、ヤイル・ラピード氏とナフタリ・ベネット氏が率いる共同リスト「ベヤハド(Together)」を僅差で上回る結果が出ています。しかし、イスラエルの政治状況は極めて断片化しており、どの陣営も単独で過半数を確保することは難しいと見られています。
リーダーの交代か、あるいは現状の維持か。不安定な連立体制のなかで、有権者がどのような選択をするのか、そしてそれが中東情勢にどのような影響を与えるのか、静かに注視する必要があります。
Reference(s):
Israel moves toward early elections as Netanyahu bids for another term
cgtn.com