チョモランマ北麓の地震被災地で新学期 西蔵の子どもたちが教室に戻る
マグニチュード6.8の地震に見舞われた中国・西蔵自治区ディンリ県で、被災した子どもたちが新学期を迎えました。国際ニュースとして、学校再建と心のケア、そして村の復興計画の動きを整理します。
チョモランマ北麓を襲った地震と子どもたち
2025年1月、世界最高峰チョモランマ(エベレスト)の北麓に位置する中国南西部・西蔵自治区シガツェ市ディンリ県で、マグニチュード6.8の地震が発生しました。この地震で126人が犠牲となり、県内の79の学校がさまざまな被害を受けました。
地震から約2カ月後、新学期の開始に合わせて、建設関係者が急ピッチで復旧工事を進めるなか、数千人規模の子どもたちが教室に戻り、授業を再開しました。
被災79校のうち76校が安全基準をクリア
シガツェ市によると、地震で被災した79校のうち76校は、補修と補強工事によって安全基準を満たし、同市内の他の学校と同じスケジュールで水曜日から新学期を始めました。
一方で、被害が特に大きかったディンリ県内の3つの郷(町)にある小学校3校は、全面的な建て替えが必要と判断されました。これらの学校に通っていた1,479人の児童は、新学期に間に合うよう、4カ所の別の校舎に集中的に移され、授業を受けています。
党校も教室に 仮設キャンパスで学びを継続
ディンリ県教育局の李本峰副局長によると、県の党校が仮設校舎の一つとして活用されており、6つの教室を提供しています。ここには小学生220人余りが通い、予定どおり新学期をスタートさせることができました。
6年生のパサン・ツェリンさんは、「新しい教科書だけでなく、リュックサックや寝具、文具まで支給されました」と話し、教材だけでなく生活に必要な物資も届けられていることを伝えています。
教師たちは早期復帰 学びと「心のケア」を両立
シガツェ市教育局のチメ副局長は、教員たちが新学期前に早めに学校へ戻り、教室や校舎の清掃、設備の点検など、開校準備に総出で取り組んだと説明しました。
さらに、新学期中は、子どもたちが地震によって受けた不安や恐怖を和らげるため、教師が心理的なサポートを行う方針も示されています。授業の合間に対話の時間を設けるなど、心のケアを重視した支援が予定されています。
教室の再開を「ゴール」とするのではなく、子どもたちの心の状態に目を向ける姿勢は、災害後の教育現場でますます重要になっています。
8つの村で本格復興へ 約12万人の移転を目指す
新学期開始直前の月曜日には、地震被害が大きかった8つの村で住宅再建の工事が始まりました。この復興事業は、2025年末までに12万人を超える住民を新しい住まいに移すことを目標としています。
着工のセレモニーは、ディンリ県のグルム村で行われました。それに先立つ1カ月余りの間に、がれきの撤去、危険箇所の調査、住宅設計などの準備作業が進められてきました。
2025年12月現在、この大規模な移転計画がどこまで進んでいるかは、今後の発表を待つ必要がありますが、子どもたちの学びの場がいち早く確保されたことは、地域全体の復興にとって大きな一歩と言えます。
なぜ「学校の再開」が重要なのか
国際ニュースとして見たとき、学校の再開は単に授業が始まったという話ではありません。被災地で教育が再開することは、
- 子どもたちの日常生活を取り戻す象徴
- 地域コミュニティが再びつながる場の回復
- 住民移転やインフラ再建が軌道に乗りつつあるサイン
といった意味を持ちます。
今回の西蔵・ディンリ県の事例では、校舎の安全確保、仮設キャンパスの整備、生活物資の支給、心理的ケア、そして村単位での住宅再建が組み合わされ、「暮らし」と「学び」を同時に立て直そうとする取り組みが進んでいます。
災害が多い日本に暮らす私たちにとっても、教育を止めずに復興を進めるにはどうすればよいのかという問いは、決して他人事ではありません。チョモランマ北麓の被災地で進む試みは、復興と教育のあり方を考えるうえで、静かに示唆を与えてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








