春節前、中国本土でロボットが主役に AIが灯会や廟会を彩る
2026年の春節(旧正月)を前に、中国本土の各地でロボットが祝いの「主役」として存在感を増しています。伝統行事の現場にAIが入り込み、見世物から生活の道具へ——変化のスピードが注目されています。
いま何が起きている? 3つのポイント
- 上海では灯会や大型商業施設で、書道や「福」文字配布をロボットが担う
- 北京〜成都では、廟会(寺院の縁日)にロボット演目や調理・接客が登場
- 2月14日、山東で「ロボットが主役」の春節ガラ(祝賀公演)が開催された
上海:灯会に「サイバー財神」、街中が“ロボット正月”
上海の豫園(よえん)ランタンフェスティバルでは、ロボットが「サイバー財神」として登場し、書道を披露したり、「福」の祝福文字を来場者に手渡したりする演出が行われました。会場ではロボット犬4体が「フォーチュン・ポニー」のパレードを組み、来場者と近い距離で交流したといいます。
運営側は「訪れた人それぞれの特別な新年の記憶を見つけてほしい」とコメントしています。
また、五角場でもロボットが「福」文字を書き、受け取りを待つ住民の列ができたとのこと。来場者の一人は、ロボット工学を学ぶ息子に持ち帰るつもりだと話しました。
上海グローバルハーバーでは、約3,000平方メートルに300体以上のロボットを集めた没入型イベントが開かれ、「研究室の外へ、都市生活の中へ」という狙いが語られています。
北京〜成都:テック色の強い廟会が全国へ広がる
北京の海淀・春節テックフェアでは、70社超による150以上の展示が並び、うち43件がロボット関連の展示とされています。五棵松でのリハーサルでは「小さな獅子」ロボットが獅子舞を練習し、英歌(えいか)ロボットが子どもたちと同じ舞台に立つ場面もあったそうです。主催者は「今年は動きがより洗練され、自律的に判断できる」と説明しています。
成都の武侯祠(ぶこうし)廟会では、ロボットアームが糖葫蘆(タンフールー:甘い飴がけの果物串)を作ったり、コーヒーを提供したりと、三国志文化の文脈に“現代の手”が差し込まれています。
山東:2月14日「ロボット春節ガラ」開催、踊って、書いて、給仕も
2月14日、山東では「ロボットが主役」の春節ガラが開催されたと伝えられました。バイオニック(生体模倣)型のヒューマノイドが優雅なダンスを披露した後、飲み物を配る役割に切り替えるなど、“演者”と“スタッフ”を行き来する構成が特徴です。
産業用ロボットは書道の実演で、対句(春聯)を一連の滑らかな動きで書き上げたとされます。さらに、DeepSeekのAIモデルにつながったダンスロボットは、最大で秒速4.5メートルの速度で動き、観客とやり取りしたという説明もありました。
「見せるロボ」から「働くロボ」へ:工場と介護の現場に近づく
華やかな演目の一方で、ヒューマノイドは実務の領域にも入りつつあります。深圳の携帯電話工場では、UBTechのWalker Sが熟練作業者より15%速く、エラーはほぼゼロで作業すると報じられました。NIOの自動車工場でも、高精度の組み立て工程にヒューマノイドが配備されたとされています。
また、Noetixの「Bumi」ロボットは1,400ドル未満の価格帯で、高齢者の散歩の付き添い、服薬リマインド、転倒検知時の緊急連絡などを想定した設計だと紹介されています。春節の“にぎわい”とは別の文脈で、ロボットが日常の課題に接続され始めている点が印象的です。
海外の視線:春節の味わいを「技術で翻訳」する動きに注目
2月13日付のAP通信は、ロボットが「伝統的な新年の味わいを技術で表現している」として海外の関心を集めていると伝えました。
さらにモルガン・スタンレーは、2026年の中国本土におけるヒューマノイドロボット販売予測を1万8,000台から2万8,000台へ引き上げ、「EV(電気自動車)のサプライチェーンで培った手法を、修正せずロボットに適用した」との見立てを示したとされています。
春節を前に、伝統行事の“主役”が更新される
対句を書く機械の腕、群衆と触れ合うロボット犬、唐詩を朗誦するバイオニック・ヒューマノイド——。春節の定番の風景に、テクノロジーが溶け込み始めています。お祝いの場で生まれた「驚き」が、工場や介護の現場での「実用」へどう連動していくのか。春節本番に向け、各地の催しとともに“次の一手”が注目されそうです。
Reference(s):
Robots join Lunar New Year celebrations as AI meets tradition
cgtn.com








