米国、戦略備蓄から1億7200万バレル放出へ 原油高とガソリン高に対応
米国のドナルド・トランプ大統領は、原油価格の上昇とガソリン高が家計を直撃する中、戦略石油備蓄(SPR)から1億7200万バレルを放出することを承認しました。中東情勢による供給ショックが世界の市場に波及するなか、価格の沈静化を狙う動きです。
何が起きた?SPRから1億7200万バレル放出、来週開始へ
米エネルギー省のクリス・ライト長官は今週、今回の放出が国際エネルギー機関(IEA)による協調放出の一部だと説明しました。IEAでは32の国・地域が合意した総量4億バレルの放出が進められるとされ、米国分として1億7200万バレルが放出されます。
- 放出量:1億7200万バレル
- 開始時期:来週から
- 所要期間:およそ120日かけて供給
背景:ホルムズ海峡の混乱が市場を揺らす
IEAによると、2月28日に米国とイスラエルがイランに対する共同攻勢を開始して以降、報復の応酬が続き、中東のエネルギー供給網が大きく揺れました。とりわけホルムズ海峡では船舶輸送の混乱が続き、原油・石油製品の流れが細ったとされています。
IEAは、原油・石油製品の輸出が紛争前の水準の1割未満に落ち込んでいると説明しており、供給不安が原油相場の変動を増幅させている構図です。
原油価格とガソリン価格:一時119ドル、全米平均は3.50ドル超
国際指標のブレント原油は今週、週明けに一時1バレル約119ドルまで上昇し、2022年半ば以来の高値を付けた後、今週水曜日には87.57ドルへと緩みました。とはいえ、輸送混乱が続く限り、市場は不安定になりやすい状況です。
生活への影響も鮮明です。米自動車協会(AAA)のデータでは、今週火曜日朝の時点で全米平均のガソリン価格が1ガロン3.50ドルを超え、紛争前の約3ドルから約17%上昇しました。平均価格が3ドルを下回った州は、カンザス州(2.96ドル)のみとされています。
アナリストの間では、紛争が長期化すれば1ガロン4ドルが視野に入るとの警戒も出ています。
「備蓄は減るが、来年までに補充」—政策の狙いと次の焦点
トランプ大統領は今週、備蓄放出の規模に関して「少し減らす」と述べたとされます。一方でライト長官は、米国が放出分を上回る形で、今後1年で約2億バレルを補充する手配があると説明しました。
今回のニュースの焦点は、単に「放出するかどうか」ではなく、(1)ホルムズ海峡の物流がどこまで回復するか、(2)協調放出が価格期待をどこまで落ち着かせるか、(3)備蓄補充が将来の価格に与える影響といった複数の時間軸が重なっている点にあります。短期の価格対策と、中期の供給安定をどう両立させるのか。国際ニュースとして、エネルギー政策の「次の一手」が注目されます。
Reference(s):
US to release 172 mln barrels of oil as Trump taps strategic reserve
cgtn.com



